工藤隆雄著 “新編 山のミステリー 異界としての山” 山と渓谷社 レビュー
今回ご紹介するのは、山での不思議な出来事を多くの山男・山女に取材してまとめた書籍 工藤隆雄 著 山と渓谷社 ”新編 山のミステリー 異界としての山”です。
都市での日常とは切り離された場所で、動物や植物といった人以外の存在が支配する異世界。それが山ではないでしょうか?
著者 工藤 隆雄 氏とは
著者である工藤隆雄 氏は出版社勤務を経て、”山小屋主人の炉端話”など、山での生活や山に関わる書籍を数多く手がけています。
この本を手に取ったのは、山という異界を神秘的・霊的に掘下げてみたくなったからで、山での怪異な出来事やオカルトな言い伝えを期待してのこと。
さて、どのような怪異が収められているでしょう。
新編 山のミステリー 異界としての山 レビュー
本書は”山の幽霊ばなし” “人智を超えるもの” “自然の不思議” “ひとの不思議”の4つの章から構成され、工藤隆雄 氏が誰かの口伝を記すというスタイルを貫いています。
山に住まう者の口伝を収集した一冊
いずれの話も語り部が明記されており、山小屋の経営者や小屋番によるものが大半を占めています。
同氏による”山小屋主人の炉端話”と相通じるものを感じさせる、口伝を淡々と誇張せずに記すスタイルの文章は、東京新聞出版局時代の月刊誌”岳人”に掲載された短編を集めて、数話を加筆したもので、一つ一つの話は大変に短い文章にまとめられています。
オリジナルが口伝故に起承転結や謎解きの要素は薄く、山小屋で薪ストーブを囲んで酒を酌み交わしながら主人の話に耳を傾けているような雰囲気です。
ひとの怪異
深く読みいってしまったのは以下の3話で、いずれも怪異な幽霊譚よりもひとの不思議な能力やひとの心の闇を扱った話ばかりです。
血を引く 北ア太郎小屋主人 五十嶋博文
五十年近い年月を山岳遭難救助に携わってきた五十嶋が未だに忘れられないこと。
消えたキスリング 大菩薩介山荘主人 益田繁
今は無き勝縁荘で小屋番をしていた益田が出会った高校生 岡崎が背負っていた黄色いキスリング。
オカリナ 三条の湯元主人 木下昇
40年前の三条の湯、木下の下で手伝いをしていた少年の不思議な正体と小屋に残したもの。
物の怪よりも人間のこころの中にある怪異を感じさせるのが”新編 山のミステリー 異界としての山”でした。
ミステリーという縛りで話を抽出してあるためか一つ一つの話の粒や起伏が浅く、同じ工藤氏の”山小屋主人の炉端話”には一歩落ちるという感想です。
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