中古テントのメンテナンス ICI GORE LIGHT その1
中古で手に入れたテントGORE LIGHTのメンテナンスをレポートします。
1回目の今回は各部の状態確認、幕体のクリーニング・撥水処理、繰返しの使用に摩耗したファスナースライダーのアライメント調整という3つの作業をご紹介していきます。
手に入れたのはICI 石井スポーツ定番のシングルウォールテントGORE LIGHT 1~2人用。現在はさらに高機能なX-TRECK FABRICを採用した後継モデルG-LIGHTが販売されています。
10年前に購入とのことで各所にくたびれたところが出ているこのテントを最低限使えるものにするためにメンテナンスをしていこうと思います。
これから紹介するのはユーザーが行ってよい範囲を超えた内容ばかりです。
結果としてテントが壊れても自己責任というリスクはありますが、出来るだけお金をかけずにDIYで作業してみます。
Contents
GORE LIGHT 各部の状態
それでは、各部の状態を見て行きたいと思います。
幕体の状態
幕体のシェル部にはGORE-TEXの積層剥離等の劣化は感じず年数の割に綺麗なほうだと感じます。しかし室内側は所々カビのような黒い点状の汚れあり。特にドア内側に集中しています。
ボトムは染み汚れもあり、光を透過させてチェックしたら1~3mm大の穴を4つ発見。四隅のうち一つに、ボトム生地を合わせる縫い目が開いて穴になっている場所があります。
シーム
上から下まで全てのシームテープが浮いて剥離しかかっています。これでは縫い目からの雨の侵入を防ぐのは難しそうです。
フレーム
ポールは全体に良い状態です。ゴムのテンションはまだ十分ですが、ほんの少し弱くなっているかもしれません。折り畳むと気づかない程度の僅かな反りもあるけど、 実用に全然問題ないレベル。
ファスナー
ドアとメッシュパネルそれぞれにYKKファスナーを採用。
ドアのファスナーを閉めてもエレメントが嵌合せず手元から開いてしまう状態を発見しました。ファスナーレール一本にスライダーが二つ装着されていますが、どちらも同じです。これでは、たやすく雨風が侵入してしまうため非常に危険で修繕が必須と言えます。エレメントは比較的キレイで、歯の欠けた場所などもありません。
1日目:テントのクリーニング・撥水処理
作業を始めるにあたり、まずは長い年月で汚れたテントをクリーニングします。この工程では作業に没頭する余り、写真撮影を忘れてしまいました。
シームテープの除去
浮き上がってしまったシームテープには、もはや防水効果も期待できません。手で引っ張ると簡単に取り除けます。思い切って全面的に剥がしてしまうことにしました。
クリーニング
汚れが気になったので水洗いしてみることに。水を張った大きなバケツに家庭用洗剤をごく薄く入れて、時間をかけて優しくもみ洗い。生地を傷めないように注意しながら、大まかに汚れを落としていきます。
このときにファスナーエレメントも丁寧に洗って点検します。汚れでまっ茶色の水が透明になるまで十分すすぎ洗いして、洗剤の成分を除去。
撥水処理
専用の撥水剤を購入するのが効果の面では確実と思いますが、今回は家にあるものを有効活用しようと思いNIKWAX TECH WASHで対応。NIKWAXを溶かした水で再度もみ洗いをして残った汚れを落とします。しばらく溶液に漬け込んで放置したりしながら、最後に再び完全にすすぎ洗い。
洗い終わったら大型乾燥機で乾かします。熱処理で生地の撥水力復元も期待します。その大きさから脱水機にかけられず水分を残したままの状態で乾燥機に投入。完全に乾く一歩前の状態まで20分、残りは張った状態で自然乾燥させます。
2日目:ドアファスナー補修
クリーニングしたテントも乾き、2日目から本格的なメンテナンス作業を開始していきます。
ファスナースライダーの調整
下の写真のような状態です。
スライダーより右側のエレメントが嵌合してなければならないのに、開いてしまって閉じられません。
考えられる原因はファスナースライダーの摩耗です。
洋服に比べるとテントのファスナーは非常に長くて、直線距離で2m前後もの距離を走ります。
さらにテントは砂や埃にさらされるために、ファスナースライダーはとても摩耗しやすい環境。
摩耗したスライダーではエレメントを深く噛み合わせられないため、閉めたはずの場所でも開いてしまいます。
応急対策としてペンチを使ってスライダーの左右のクリアランスを微修正していきます。
一気に締めず、少しづつスライダーの動きとエレメントの嵌合具合を確かめながらが良いでしょう。
強く締めてスライダーやエレメントを壊さないよう慎重に。
二つとも、うまくいきました。
きちんと嵌合するようになったスライダーはとても軽くなります。原因は予想通り、スライダーの摩耗だったようです。
そして、油脂系の潤滑剤は汚れを付着させてしまうので、代わりにシリコンで潤滑するため、シェルに油脂が付着しないように当て布でカバーして、細い吹きつけ口をエレメントに当ててごく軽めに。
しかし、このファスナースライダーの調整方法は恒久的な対策にならないことも注意しておくべきでしょう。
摩耗したスライダーはメーカーに交換を依頼するのが本来の対策です。
エレメントの状態が良くてスライダー交換のみで済めば費用もそれほど高額ではないとのこと。
摩耗で広がったクリアランスを詰めても、さらなる摩耗で再び閉まらなくなるリスクがあります。
作業の後半 中古テントのメンテナンス ICI GORE LIGHT その2はこちらから
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